「あんたのバラード」「銃爪(ひきがね)」など数々の名曲で知られるミュージシャン・俳優の世良公則さん(69)が、2025年夏の参院選・大阪選挙区に無所属で出馬することを表明しました。芸能界から政治の舞台へ——。その決意の裏には、大阪という土地と音楽に対する深い想いがありました。本記事では、出馬に至ったきっかけや背景、世良さんの訴える政策、そして大阪へのこだわりを、独自の視点でまとめました。
音楽家としての目線で見つめた「大阪の今」
世良さんが出馬を決意した理由の一つに、「街の空気が変わってしまった」という違和感があります。
「かつての大阪には、地域ごとのにおいや人のつながりがあった。だが今は“観光公害”の影響で街が消費されている」と、会見で語りました。
これは、大阪中心部で急増する外国人観光客や過剰開発に対する懸念を示したものです。世良さんは音楽活動を通じて各地を巡ってきた経験から、「地域文化と共生する発展」の必要性を痛感したといいます。
出馬のきっかけは「無力感」と「変えたい」という衝動
2024年秋頃、知人との何気ない会話の中で「変えるには誰かが中に入らなきゃ」という一言が、世良さんの胸に強く残りました。
長年、社会課題や政治に関心を持っていたものの、傍観者でいることへの“無力感”があったと語ります。
その後、参院選出馬を真剣に検討し始め、「もう一度、大阪を大阪らしく」という言葉をスローガンに掲げるに至りました。
「僕は芸能人として立候補するのではない。表現者として、未来の形を語りに行くんです」
この言葉には、単なる知名度頼みではない真剣な姿勢がにじみ出ています。
訴える政策:観光公害、土地取得規制、教育再生
出馬表明会見では、世良さんが特に力を入れて訴えていたテーマが3つありました。
- 観光公害への対策
観光地の過密化・マナー問題により、地元住民の生活環境が悪化している現状に対し、持続可能な観光の枠組みを提言。 - 外国人による土地取得の制限
地域の安全と主権を守る観点から、土地売買への新たな規制の必要性を主張。 - 教育と文化の再生
「芸術や表現が軽んじられている」とし、若者が自由に学べる環境の充実を求めています。
政治的ポジションは「無所属」ですが、むしろそれが「一人の市民の視点から語る覚悟」につながっているようです。
音楽と大阪に生かされてきた人生
広島県出身の世良さんが、大阪芸術大学に通っていた若き日々。
「大阪で人生の骨格ができた。この街がなければ今の自分はいない」と本人は振り返ります。
その“原点回帰”ともいえる今回の挑戦は、表面的な政治参加ではなく、自身の半生を賭けた再スタートにほかなりません。
まとめ:言葉と音を武器に「まち」を取り戻す挑戦
世良公則さんの参院選出馬は、単なる有名人候補では終わらない可能性を秘めています。
音楽家として、人の心に響く“言葉”を操ってきた表現者が、今度は政治という舞台でその力を試そうとしています。
大阪の原風景、住む人々の誇り、未来を担う子どもたちの自由——。
そのすべてを「取り戻したい」という強い動機は、確かに人の心を動かします。
投票まで残された時間の中で、世良さんがどれだけ本気で人々の声を拾い上げられるか。注目が集まっています。