階段上り世界一・渡辺良治|驚異の身体能力でつかんだ頂点

「階段を全力で駆け上がる競技で、世界一になった日本人がいる」——そう聞いて、すぐに姿を思い浮かべられる人は多くないでしょう。しかし今、世界の超高層ビルを舞台に頂点へ登りつめた男がいる。その名は渡辺良治(わたなべ りょうじ)。ステアクライミング(階段上り競技)の世界で、2024年に年間世界王者の座をつかんだアスリートです。

渡辺良治さんが世界一に到達するまでの歩みと、その原動力となった驚異の身体能力に迫ります。

渡辺良治とは何者?|世界が認めた「階段王」

渡辺良治さんは1984年2月8日生まれ、東京都大田区出身。所属は日本一の階段メーカーとして知られる横森製作所。趣味はランニングとデカ盛りという、トップアスリートらしからぬ一面も持つ人物です。

彼が世界的に注目される理由は明確だ。Towerrunning World Association(TWA)ワールドツアー2023 年間ランキング1位(World Tour Champion)。※2024年シーズンもワールドツアー各大会で優勝を重ね、世界トップクラスの成績を維持している。つまり名実ともに「世界一」。ニューヨーク、ロンドン、シカゴ、上海といった世界各地の大会で勝利を重ね、世界の頂点に立ちました。

ステアクライミングとは?|都市型“最過酷競技”

ステアクライミング(階段上り競技)とは、超高層ビルの階段を一気に駆け上がり、タイムを競うスポーツ。スカイランニングの都市型種目として位置づけられています。

必要とされるのは単なる脚力だけではない。

  • 下半身の爆発的筋力
  • 心肺機能と持久力
  • 失速しないペース配分
  • 高層階での平衡感覚と精神力

まさに身体能力の総合格闘技とも言える競技です。

驚異の身体能力①|登るために最適化されたフィジカル

渡辺良治さんの強さの核は、登坂に特化した身体能力にあります。階段を駆け上がる際、太もも・臀部・ふくらはぎを連動させ、無駄な動きを極限まで排除するフォームを完成させている。

特筆すべきは、

  • 瞬発力と持久力を同時に維持できる心肺機能
  • 乳酸がたまった状態でも崩れない動作精度

これにより、後半で失速する選手が多い中でも、最後までスピードを落とさない登りを可能にしています。

驚異の身体能力②|挫折が磨いた“登る才能”

渡辺さんは、もともとエリート街道を歩んできた選手ではありません。小学生時代は野球、中高では卓球に取り組んだが、成績は凡庸とのこと?。大学卒業後はプロボクサーを目指すも、約4年間挑戦してプロテストに合格できず挫折を味わう。

その後、体を鍛えるために始めたランニングがきっかけで山岳競技へ。しかし、スカイランニング日本代表入りを果たすも、世界では通用しなかった。

夢を諦めかけた時に出会ったのが**「階段」**だった。

2016年、Vertical World Circuit(VWC)大阪大会(あべのハルカス)で初出場3位。この結果が、眠っていた“登る才能”を完全に目覚めさせる。

驚異の身体能力③|数字が証明する世界レベル

渡辺良治さんの凄さは、記録が物語っています。

  • 2020年:ギネス世界記録 「20kmの階段を最速で垂直に登ったタイム(男性)」 タイム:2時間41分30秒(2020年に達成したギネス世界記録)
  • 2019年:VWC ニューヨーク大会優勝(日本人男性初)
  • 2023年:Towerrunning World Championship(TWA主催・世界選手権) 優勝。※年間王者(World Tour Champion)とは別に開催される単発の世界選手権大会。
  • 2024年:TWA World Tour Champion(年間世界一)

一過性ではなく、長年にわたり世界トップに居続けていることが最大の強みです。

世界一を支えるメンタルと覚悟

渡辺良治さんの言葉に象徴されるのが、

「階段王に、おれはなる!」

この言葉は決して冗談ではない。ボクシング、山岳競技、数々の挫折を経てもなお「スポーツで世界一になる」という夢を捨てなかった。

家族や応援してくれる人たちの存在が、極限のレースで一段一段を踏みしめる力になっているとのこと。

まとめ|渡辺良治は“身体能力の完成形”である

※本記事の競技実績・記録は、公開されている公式情報および本人発信情報をもとに事実確認を行っています。

渡辺良治さんは、ただ階段を速く上る選手ではない。

  • 挫折を糧に競技を選び
  • 身体能力を極限まで磨き
  • 世界を転戦して頂点をつかんだ

努力と身体能力が完全に噛み合った、世界唯一無二の階段アスリートです。

ステアクライミングという競技が今後さらに注目される中で、渡辺良治という名前は間違いなく語り継がれていくでしょう。

かっこいいですね。